所得税における損益通算は、税法において、損失を利益に控除できるプロセスを指します。
これは、個人や法人が税金を計算する際に非常に重要な役割を果たす概念です。この記事では、所得税における損益通算の基本から具体的な応用例までを詳しく説明します。
所得税における損益通算とは?
所得税における損益通算とは、同一年分の利益と損失を合算し、その差額を課税対象とする制度です。
損益通算を行うことで、課税対象となる所得を減らし、納める税金を抑えることができます。
所得税全体のイメージ
確定申告における所得税の計算の流れについては、次のとおりです。
損益通算の対象となる所得
10種類の所得のうち、損益通算の対象となる所得は、以下のとおりです。
- 事業所得
- 不動産所得
- 譲渡所得
- 山林所得
ちなみに、この4つの所得を覚えるとき、「富士山上」といって富士山の山の上に登ったイメージで覚える方法があります。
- 富・・・不動産所得
- 士・・・事業所得
- 山・・・山林所得
- 上(じょう)・・・譲渡所得
ただし、4つの所得の全てが損益通算の対象となるわけではありません。
不動産所得や譲渡所得の⼀部は、制限が加えられていて損益通算できない部分もあります。
不動産所得と譲渡所得で損益通算できないもの
不動産所得と譲渡所得で損益通算ができないものとして、代表的なものを4つ挙げてみます。
1. ⽣活に通常必要でない資産の譲渡損失・・・具体的には、⾼価な宝⽯やヨット、別荘などです。1個または1組30万円以上の貴重品など、⾦額基準もあります。
2. ⼟地建物等の譲渡損失・・・ただし、⼀定の居住⽤財産の譲渡損失は損益通算できます。
3. 株式等の譲渡損失・・・株式等の譲渡による損失は、原則として他の所得との損益通算はできません。
ただし、上場株式等の譲渡損失は上場株式等の譲渡損益と上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)、特定公社債等の利⼦・譲渡損益・償還差益との損益通算は可能です。
4. 不動産所得の損失のうち、⼟地(⼟地の上に存する権利を含みます。)を取得するために要した負債の利⼦に相当する部分の⾦額。
損益通算の手続き
損益通算を行うには、確定申告書に損益通算に関する明細を記載する必要があります。損益通算に関する明細は、税務署のホームページからダウンロードすることができます。
損益通算に関しては国税庁のHPも参考にしてみてください。
参考 ・No.2250 損益通算|国税庁
まとめ
所得税における確定申告は、事業者生活の収支活動において非常に重要な要素であり、内容を知ることで、経済的な損失を相殺できる損益通算等のルールをしっかり活用することも可能です。
正確な損益通算を行うためには、税法の規則と適切な記録の保持が不可欠です。個人や法人として、損益通算を最大限に活用し、経済的な成功を追求しましょう。